20歳くらいだろうか。

常にバナナを食べてますといった感じの女だ。

今にもかばんからとりだしそうだ。

残念なことについに出てくることはなかったが、

たぶん完全に熟すまで待っているのだろう。

なかなかの美食家と見える。

しかしこの女はすごい。目や口は死んだように静かだが、

鼻だけは一際際立っている。

全ての養分を鼻にまわしたかのようだ。

それだけ、強くごついのだ。



・・・しばらく観察を続けているとその女は降りていった・・・



50歳くらいだろうか。

パッと見上品な感じの中年の女だ。

白髪染めのCMに出ていそうな感じだ。

しかし白髪をそめようなんて中年は

上品なようで案外下品だ。

真に上品な婦人はたとえ白髪でも

気品が崩れる事などないのだ。

向かいの女がこちらを見てくる。

眉は不自然に垂れ口紅は燃えるように赤く

下がる目尻でこちらを見つめてくる。

不愉快だ。

やはりこの女は下品だ。

というより気持ちが悪い。



・・・しばらく観察を続けているとその女は降りていった・・・



15歳くらいだろうか。

お世辞にもかわいいとか言えない眼鏡をかけた少女だ。

眼鏡がかわいくないのではない。

顔がかわいくないのだ。

どうやら流行りの服を着ているらしい。

これと似たような服をいくつか街で見かけた事がある。

もうあの街へは帰れないのか・・・

私は自分の運命を呪った。

そして一気に林檎ジュースを飲み干した。

物思いにふける私の目に、

おもしろいものが飛びこんできた。

その少女は名札をつけている。

服の胸のあたりに「小林」と掘られた名札がつけられているのだ。

私は少女の顔を見上げた。

なぜ名札を?

私は考えこんでしまった。

そしてある結論に達した。

忘れっぽい子なんだろう。



・・・しばらく観察を続けているとその女は降りていった・・・



ー私の旅はまだまだ続くー



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